『長い間』ができるまで

金川晋吾写真集『長い間』を2023年4月27日に発行しました。2022年1月に「出版社を立ち上げるので、うちから写真集を出しませんか」と金川さんにLINEしてから1年5ヶ月が経とうとしています。

金川晋吾写真集『長い間』

デザイン担当は宮越里子さん。金川さんから宮越さんにお願いしたいと言われました。最初の打ち合わせでお二人を家に招き、食事をしながら宮越さんが、金川さんになぜ自分に依頼したのかを尋ねました。金川さんは切り出しました。この写真集のテーマのひとつに「不良に祝福を」というものがあると。すると、宮越さんは、それで自分を選んでくれたのなら納得できると笑いました。話しが弾み、この本のイメージカラーも決まっていきました。

2022年の12月に、印刷所に見積もりを頼みました。お願いした印刷会社から、丁寧で良心的な見積書が次々と届き、途方に暮れました。どこに決めればいいのかさっぱりわかりません。机の上に並べてひとつひとつ見比べて泣きたい気持ちで数日間過ごしました。取次をお願いしているトランスビューさんに行ったとき、大好きな写真集を発行している信陽堂さんがいらしたので相談しました。親身になって話しを聞いてくれて、株式会社アイワードさんにお願いすることになりました。

印刷所で色校正を行うとき、金川さんがプリントを見ながら希望をいいます。宮越さんに相談しながら、二人で意見を出し合い、プリンティングディレクターの浦さんがその要望を聞きつつ印刷した紙に現場への指示を書き込んでいきます。スピード感のある打ち合わせでした。4月初旬に最終入稿して4月25日に現物がナナルイに届くまで、最初は楽しみでしかたなかったのですが、あと何日!となると急に不安になってきました。

表紙のデボス加工

現物を手にしたときの感覚はずっと忘れないと思います。デザイナーの宮越さんがデボスの凹み具合の仕上がりを心配していたから表紙の写真を撮ってすぐ宮越さんに送り、これなら大丈夫だと返事がきました。金川さんはその日の夜に来て、出来上がり喜びながら何冊かにサインを書いてくれました。

著者もデザイナーも出来栄えに喜んでいる写真集を発行できたこと。出版社としてこれ以上の幸福なことはないです。素人が始めた出版社で、写真集は今の時代に売れないよ!と言われ続けても「そうかあ、じゃあ辞めとこう」とならなかったのはなぜだろう。なぜかはわからないけれども、本当に、写真集を発行してしまいました。

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