小川和著
『日常的な延命「死にたい」から考える』
(1800円・税別)
佐々木敦氏推薦
表紙は2024VOCA展大賞・大東忍描き下ろし
ふと「死にたくなる」ことがある。
著者の小川和は「『死にたい』とはどのようなものなのか。無論、答えは人それぞれに異なっている。だからこれは、自分で自分の悩みに答えを出すために書いた」と語る。
例えば、座間9人殺害事件がどう「死にたい」と関連しているのか。SNS上の言葉を分析。関連する願望として「承認欲求」に対する「安心欲求」論を展開する。さらに自身の体験から「ひきこもり」と「移民」を結びつけて、自殺に至らないための方法を探る。
制作、ひきこもり移民、承認欲求、筋トレ、カフカ、インディペンデント・アニメーション、親密圏、呪術廻戦、ONE PIECE、TikTokなどをベースに、「死にたい」について考えていく。
小川和は、ゲンロン批評再生塾出身。待望の単著。
やなぎまちの書評
有機農業・文筆業 鎌田裕樹の書評
医師・批評家 太田充胤の書評
金川晋吾写真集「長い間」
(4500円・税別)
木村伊兵衛賞ノミネート
『father』から6年。金川晋吾の待望の写真集。今回の『長い間』では伯母・静江さんとの関係を描きます。二十数年ぶりに病院で再会します。それまで会話した記憶もほとんどありません。過去を共有することもなく、今ここでしかない関係。撮影は10年に及びます。写真46点と日記で構成。六本木クロッシング2022にも出展。
「長い間」批評①きりとりめでる
「長い間」批評②NIL
HARAIZUMI ART DAYS! 2018-2022 5th Anniversary book
1818円(税別)
静岡県・掛川市で毎年開かれる芸術イベント「原泉アートデイズ」の5周年記念アートブック。岡本太郎現代賞芸術受賞の野々村聡人ら参加。眺めるだけで、アートのパッションと里山・原泉のホスピタリティを感じられます。
大東忍「踊り場」
2500円(税別)
2024 VOCA展大賞
大東忍は、人の生活の痕跡が物語る風景を描く画家であり、盆踊り愛好家でもあります。2022年は猪熊源一郎現代美術館第1回MIMOCA EYE高嶺格賞を受賞。
ひと気のない夜の街や忘れられた施設の跡地。「物語る風景」を「踊り場」に、ひとり踊る。白と黒で描かれた木炭画は「言葉のよう」と大東は語ります。絵を「読む」ように楽しむ作品集となっています。民俗学者・畑中章宏のエッセイも収録。
八木喜平歌集「タテイトヨコイト」
1700円(税別)
八木喜平(1910〜1979)は昭和のアララギ派の歌人です。愛知・渥美で機織り職人として働きながら、短歌を作り続けました。土屋文明を師と仰ぎ、渥美在住の作家・杉浦明平とは生涯の友でした。喜平の残した歌を編み直し、杉浦明平のエッセイ、土屋文明の手紙も掲載。
NILOG
1000円(税別)
NILOGとは、現代美術家で批評家のNILが2017年に書き言葉、文字のブログとして開始し、2022年に話し言葉、声のブログとして再開した営みのことです。NILOGの題材は、日記、制作、批評、アイディアメモなど、基本的には規定されておらず、雑種性が強いことがその特徴になります。また本書に収録している内容は、声のブログの音声をAIで書き起こし、各テーマごとに集約、再構成をした上で、書き下ろしを加えたものになっています。
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