大東忍さんが2024年VOCA展大賞受賞しました。
大東忍さんとは、名古屋で開催したグループ展にお互いに出展者としてギャラリーの会場で挨拶したのが最初の出会いでした。
ナナルイの鈴木薫が自身の作品を搬入するときに同行したわたしは、大東さんのこの作品の前で動けなくなりました。
個人的な話になりますが、わたしは愛知県奥三河出身で、小学校の登下校に空想しながらひとりで歩くのが好きでした。途中に山に上がる道がありました。一度だけその道を上っていくと、あきらかにそこだけ木が生えていない、なにかの跡地のような場所があったのです。子ども心にも、畏れのようなものを感じました。
大東忍さんの「現場:跡地」をみたとき、一瞬にしてその場所に降り立った気持ちになりました。
畏れを感じることとは、何か目に見えないものに触れる感覚でもあり、それはひとりでいるときに起こりやすいと思います。そして日々の生活の中でとても大切な感覚でもあると思います。
読書をしているときも、そのような感覚になれるときがあります。
出版社を立ち上げた日に、この絵をナナルイ名義で購入しました。こんなふうに目に見えない何かに触れることのできるような読書を、ナナルイがつくる本で体験して欲しいと思ったからです。
2024年の春にナナルイから発行する小川和著作の『日常的な延命 〜「死にたい」から考える〜』では、大東忍さんに表紙の絵を頼みました。
西尾市のお寺に展示するふすま絵、VOCA展に出展する大作、グループ展に出す新作を制作しなければないないというスケジュールの中で、小川さんの原稿を読み、新作を描いてくれました。ナナルイはこんなむちゃくちゃなお願いをしながらも、勝手な話しですが大東さんの身体を心配していました。そんな中で秋田で大作を仕上げ、大賞までとってしまった大東さん。
LINEで祝福したら、
「ここからがまた頑張りどころだとも思います。どんどんやっていきます!」
とお返事が。すごいひとです。
大東忍さん、おめでとうございます。
今後のさらなるご活躍を願っております。