『日常的な延命「死にたい」から考える』
改稿新版刊行と初版における不備についてのお詫び
2025年4月15日、ナナルイは小川和著『改稿新版 日常的な延命「死にたい」から考える』を発売いたしました。本書は、2024年4月に刊行した初版において、引用表記に不備があるとのご指摘を受け、必要な修正を行ったものです。
問題となったのは、第1章および第2章における、中森弘樹氏の著作『「死にたい」とつぶやく―座間9人殺害事件と親密圏の社会学』(慶應義塾大学出版会)からの引用部分です。著作権および著作者人格権を十分に順守できなかったことを深く反省するとともに、読者の皆様および関係者の皆様、そして中森氏および慶應義塾大学出版会さまにご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
ご指摘を受けた後、弊社および著者・小川和は直ちに中森氏および同出版会さまに謝罪し、その後も継続的に協議を重ねてまいりました。その過程で、本書に対する考えを汲んでいただき、改稿の機会を頂戴できたことに、あらためて心より感謝申し上げます。
改稿新版では、問題となった記述を見直し、中森氏の記述と小川自身の記述の区別を明確にしました。また、該当箇所には出典を明記したうえで、必要な注釈を付け、読者にとって文脈がより明瞭になるよう配慮しております。なお、改稿新版は初版とは別のISBNを新たに取得し、奥付にも「改稿新版初版」と明記しております。
このような不備を生んでしまった背景には、出版社、著者の両者において、編集体制と出版倫理への認識の甘さがありました。原稿が出来上がっていく段階で、著者からは中森氏の文献を含む主要文献と照らし合わせながら編集を進めていくことへの提案がありましたが、実際に原稿を確認しながら編集を行う過程で欠けていたのが、評論・エッセイの領域における引用と、学術的引用の違いへの理解不足です。出版社、著者ともに、事実を深く反省しております。
本書に寄せられた読者の声――死を意識しながら生きるひと、学校現場で「死」をどう扱うか悩む教師、自らの生の延命のヒントを得たという方々の声――に触れ、あらためて、この本が持つ力と切実さに向き合う必要があると感じました。
著者ならびに出版者として、内容を見直し、改めて読者に届けることが、読者への果たすべき責任であると考え、今回の改稿新版の刊行に至りました。
あらためまして、初版をご購入いただいた読者の皆様、書店・取次をはじめ関係各位、中森弘樹氏ならびに慶應義塾大学出版会さまに、深くお詫び申し上げます。今回の経験を教訓とし、出版倫理の重要性をあらためて胸に刻み、今後はより慎重かつ誠実な出版活動に努めてまいります。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
2025年4月15日
合同会社 ナナルイ
著者・小川和